本出品作品は、専門的な知識がなくても、簡単に会社設立手続きの書類が作れるようにしたWEBアプリケーションです。本出品作品の制作趣旨は次のとおりです。
【18世紀の産業革命による変化】 18世紀の産業革命は人々の働き方を一変させました。産業革命前までは、人々は家族単位で働くのが一般的でした。が、産業革命中の相次ぐ技術革新により、土地・資本・労働を集約する必要性が生じ、そのため、人々は企業に雇用されて働くのが一般的になりました。
「生産手段を持たない大多数の被雇用者」と「生産手段を持つ少数の雇用者」という近代社会の構図はこのとき生まれました。
【1995年IT革命による巻き戻し】
その後、1995年にウィンドウズ95発売を契機に始まったIT革命は、その巻き戻しを引き起こしました。
すなわち、今、多くの人々は、PC、タブレット、スマホを持ち、クラウドを利用してサービスを提供し、3Dプリンターを活用して生産もできます。これは個人が生産手段を持ったのと同じです。
一方、土地・資本・労働の集約を進めてきた大企業では、IT革命により、それまで10人がかりでやってきた仕事も1人でできるようになり、土地・資本・労働を集約する必要性は加速的に薄れつつあります。
【長期的予想】 これらの帰結として、今後、長期的には、雇用されて働く人は減少して行き、雇用されずに働く人や自分で会社を興す人が増えていくことが予想されます(世界における失業率の上昇や日本におけるノマドの増加は、その兆候といえます)。
【過渡期であるが故の構造的不具合】 今の日本(及び世界の先進国)は、「雇用されて働くのが当たり前の時代」から、「雇用されずに働くのが当たり前の時代」への過渡期にあります。ところが、教育や各種の制度は従前どおり、雇用されることを前提とした内容となっており、「雇用されずに働くのが当たり前の時代に向かいつつある」という現状にそぐわない側面が生じています。
会社設立の手続きもそのひとつです。起業のハードルを下げ、設立手続きを簡便にし、誰でも迅速に会社を立ち上げることができるようにすることが時代の要請であるのに、今だ作成すべき手続き書類が不必要に複雑であって、専門的な知識がないと、その作成に多大な時間を浪費させられます。
【本出品作品の役割】 そこで、本出品作品では、専門的な知識がなくても、簡単に会社設立手続きの書類が作れるようにいたしました。基本事項を入力するだけで、短時間で会社設立手続書類を一通り作成することができます。これは、いわば上記過渡期における構造的な不具合を埋める作品です。
【補遺;個人は大企業に太刀打ちできるのか?】 なお、上記の見解には、次のような疑問が湧くかもしれません。それは、「雇用されずに働く人たちは、大企業に太刀打ちできるのか?」という疑問です。これはもっともな疑問です。
ですが、IT革命は市場に劇的な変化をもたらしたため、太刀打ちできるようになったと考えられます。
IT革命前はTVや新聞等のマスメディアが力を持っていて、皆が同じ番組を見て、同じ新聞を読む結果、人々の嗜好や興味はマスメディアが取り上げるものにほぼ統一されていました。その結果、市場は大規模で統一的でした。
ところが、IT革命によるインターネットの普及は、人々に、「マスメディアから与えられたものを楽しむ」のではなく、「インターネットで自分の興味のあるものを探して楽しむ」というライフスタイルの変化をもたらしました。その結果、個人の興味や嗜好は、IT革命前とは比べ物にならないくらいに細分化されました。
そして、このような細分化された興味や嗜好が、無数のニッチな市場を生むことになったのです。こうして生まれたニッチな市場の多くは、大企業が1000人がかりで取り組むには規模が小さすぎますが、個人が1人で取り組むには十分すぎる規模です。
ニッチな市場は小規模であるため大企業は入ってくることができず、雇用されずに働く人たちは、このようなニッチな市場を見据えてビジネスを展開していけば、十分に成功を収めることができるでしょう。
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